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幹細胞療法
特別対談

「免疫細胞療法治療と予防・N2クリニックの特徴について」

◆照沼 裕医師
・株式会社日本バイオセラピー
 研究所 所長
・東京クリニック 副院長 腫瘍
 内科(免疫療法・温熱療法)
・総合南東北病院
 免疫・温熱療法科長
・日本ハイパーサーミア
 学会評議員・指導医
・日本再生医療学会 再生医療認定医

◆井原 玲院長
・N2クリニック 院長

 

◆鳥越 俊太郎氏
1940年生まれ、福岡県出身。京都大学文学部卒業後、毎日新聞社に入社。大阪社会部、東京社会部、テヘラン特派員を経て『サンデー毎日』編集長に就任。毎日新聞社を退社後は「ザ・スクープ」キャスター、「スーパーモーニング」コメンテーターなどテレビメディアにて活躍し、関西大学社会各部教授も務める。2005年に大腸がんが発覚。肺や肝臓へも転移し4度の手術を受けるも、がん発病以前より精力的に仕事を続け、現在はがんに関する講演活動も行っている。著書に『ニュースの職人』『人間力の磨き方』『がん患者』などがある。

《第1章》 免疫細胞療法とがん治療の関係

  • 鳥越:私はがんの手術を4回してきました。そういう手術をしなくても、がんの治療ができるというのが免疫細胞療法の特徴でしょうか?
  • 照沼:もちろん、手術ができる時にきちんと手術をする、基本的な治療をするということは最低限必要なことです。手術や抗がん剤、放射線などの標準的な治療はきちんとやりながら、それにプラスアルファとして取り入れてほしいのが免疫細胞療法です。つまり、がんのさらなる再発を防いであげたり、現在行っている治療の効果をあげたりする治療とお考えいただければと思います。
  • 鳥越:具体的に免疫細胞療法というのは、どういったことをやるのでしょうか?
  • 照沼:血液の中には、がんと戦ってくれる免疫細胞が存在します。しかし、がんになった場合は、その免疫細胞がすでに弱っており、手術や抗がん剤、放射線などの治療でさらに弱っていき、数も減少してしまいます。 そこで登場するのが、免疫細胞療法です。一度、免疫細胞を体の外に取り出し、培養という手法で数を増やし、さらに一個あたりのがんと闘う力を強くしてあげます。そして、その培養した免疫細胞を体の中に戻してあげるという治療です。
  • 鳥越:実際にもう治療は始まっているのですか?
  • 照沼:日本では、細胞を使った免疫療法は20年以上前から始まっております。もちろん、研究はもっと前から行っており、広く使われている治療方法です。
  • 鳥越:どのような方がこの治療を受けているのですか?
  • 照沼:もともとは、他の治療法が何もなくなってしまったというがん患者の方が多くいらっしゃいました。手術もできない、放射線治療も限界がある、抗がん剤治療も副作用が強くて続けられないがまだまだ自分としては元気だし頑張りたい。しかし、医者からは、標準的な治療は難しいので症状を取るだけで頑張ったほうがいいのでは、と言われたような患者さんです。
  • 鳥越:ある意味では、見放された状況の患者さんということですね?
  • 照沼:そうですね。そういう時でも、せめて患者自身の抵抗力をアップさせてあげるということで始まったのが免疫細胞療法です。 しかし実は、末期の段階よりもがんの再発予防に使うのが一番いいのです。がんがかなり進行すると、免疫も弱っていますし、がんも固まりになっているので、免疫を抑えるような物質をたくさん出しています。その状態をコントロールするのはなかなか難しいので、むしろ「手術や放射線治療で見えるがんは一旦なくなったけど、再発をしないように免疫を強化してやろう!」という場合に免疫細胞療法を使うのです。
  • 鳥越:なるほど、そういう時が一番いいのですね?
  • 照沼:そうなんです、そういう時が一番コストパフォーマンスがいいのです。
  • 鳥越:私が受けた治療で考えると、普通そういう時は「抗がん剤を飲みなさい」と言われるわけですよね。 私は、大腸がんで手術をした直後にUFTという経口の抗がん剤を、朝昼晩1日3回を3年間飲みました。その結果、髪の毛は一本も抜けず、吐き気もめまいも立ちくらみもなく、つまり副作用は全くなかったのです。その理由は未だもって全くわからないのですが、ある外科の先生と雑誌の対談でお話しした時に「効いてないのでは?」と言われたのです。
  • 照沼:副作用があるかないかと、(抗がん剤が)効いているかいないのか、というのは全く別です。そもそも、副作用が出やすい人と出にくい人がおり、非常に差があります。
  • 鳥越:免疫力と関係があるのでしょうか?
  • 照沼:免疫力とも関係があると思いますし、最近では、遺伝子を調べることで一部の抗がん剤に対する解毒力も区別がつくとも言われるようになってきています。 一部の抗がん剤は使う前に、この人は副作用が強く出るからこれはやめましょう、この人は大丈夫なはず、などと調べることができるようになってきています。しかし、UFTについてはまだこういう遺伝子はわかっていませんが、鳥越さんはそういう抗がん剤に大変強い、恵まれた体質だったということだと思います。
  • 鳥越:私の場合は、すでに大腸がんが見つかった時点で転移をしていたんですね。だから1年3ヶ月後に肺に、さらに1年1ヶ月後には肝臓に見つかりました。つまり、抗がん剤を飲んでいたけれど転移は抑えられなかった。というより、抗がん剤を飲み始めた時点で転移はもう終わっちゃっているんですよね。それが目に見えるまでに増殖をしたのでしょう。
  • 照沼:そうですね。それに加え、がんの塊の中にも、お薬が効きにくいがん細胞と効きやすいがん細胞とが混ざって存在しています。おそらく、効くものは減っていったと思いますが、やはり効きにくいものが残って、それが時間をかけて目に見えるまでに大きくなった、ということでしょう。

《第2章》 免疫細胞について

  • 鳥越:免疫細胞として、私が知っているのはナチュラル・キラー細胞(NK細胞)やマイクロファージ、好中球など幾つかありますが、どのようなものがありますか?
  • 照沼:これはまさに分業体制で、好中球は細菌の感染症に働き、NK細胞はがん細胞やウイルスが感染してしまった細胞、いわば自分自身が異常化してしまった細胞に働きます。それから、がんになるとがん自体が作る異常なタンパク質がありますので、その異常なタンパク質を見つけて攻撃するキラーTリンパ球(CTL)というのもあります。このキラーTリンパ球は、いわゆる殺し屋ですから、NK細胞以外にも殺し屋はいるのです。この2つが主に働いてくれて、どんながん細胞かによってどちらが主となるかは変わってくるので、どんな相手をやっつけたいかということによってこの分業体制をうまく刺激してあげるといいのです。
  • 鳥越:免疫のシステムの中にT細胞というのがありますが、T細胞は胸腺で訓練を受けて自己と非自己を見分けるのでしょうが、数的には100万個を訓練しても使えるのは少しと聞きました。非自己が侵入した場合は、T細胞が察知しているようですが、司令塔は何でしょう?
  • 照沼:まずは遺伝子変異で異常化した細胞が出現した時に、教育なしにすぐ働き出してくれるものがNK細胞です。ナチュラル・キラーですから生まれながらの殺し屋なのです。 そして、壊れた細胞を食べ込むのがマクロファージや樹状細胞です。それを食べ込んで消化した後、Tリンパ球にその情報を渡すのです。そうすると、その情報(タンパク質)にのみ反応するTリンパ球ができ、そのタンパク質を持っている細胞だけを攻撃していきます。つまり、教育を受けて働き出すのがキラーTリンパ球で、教育を受ける前に働き出すのはNK細胞です。 NK細胞は、お巡りさんのように人相が悪い細胞を攻撃します。ところがキラーTリンパ球は、人相が悪いだけでは知らんぷりなのですが、指名手配書を渡されてそれ通りの人相の細胞だけを強力に攻撃してくれるのです。この両方が悪い細胞を取り締まってくれるのです。そして、お互い助け合いながら悪い細胞をやっつけてくれている、というのががんに対する体の中の免疫システムです。
  • 鳥越:白血球の中にそのようなものがあるのですか?
  • 照沼:はい、白血球の中に好中球やリンパ球やマイクロファージがあります。そのうち、好中球は主として細菌と闘う白血球です。そして、がん細胞やウイルス感染細胞と闘うリンパ球の中にTリンパ球やNK細胞があります。
  • 鳥越:手術した後、院内感染したり傷口に感染したりして病状が悪化した場合、白血球の数が上がらなかったなどという説明があったりします。本人の体質として白血球がなかなか上がらない体質というのがあるのでしょうか?
  • 照沼:そういった場合は、まさに感染症などによって、細菌が悪さをしているわけです。試験管の中では、細菌を殺す力を持った抗生物質と細菌が増えないようにする力を持った抗生物質とがあります。しかし、殺す力を持った抗生剤を体の中に入れても、その場所に十分に到達できるかなどの問題があり、殺すというよりは、せいぜいどんどん増えるのを抑える程度の効果になってしまう場合が多いのです。 それでは、どうやって悪い細菌は消えていくのかというと、好中球という細菌をやっつけてくれる細胞が出てきて細菌にどんどん自爆攻撃をかけていきます。抗生剤はあくまでその細菌が増えないように時間稼ぎをするもので、自分の好中球という免疫が働かないと細菌を除くことはできないのです。ですから、抗生剤を投与して細菌が増えるのを抑えようとしたけれど、自分の白血球の中にある好中球が働いてくれなかった、ということではないでしょうか。中には、抗生物質が効かないように菌自体が変わってしまう薬剤耐性という細菌もありますから、その場合は、いくら免疫力があっても菌のほうが増えるのが早くなって亡くなってしまうということはあります。

《第3章》 免疫年齢について

  • 鳥越:免疫力が下がっているかどうかは、自分では分かりにくいですよね?
  • 照沼:今は免疫力を測定することができます。例えば、この方は実年齢は50代なのですが、免疫年齢が67歳と測定されています。このように、NK細胞の活性度を測ることができるのです。
  • 鳥越:実年齢よりも免疫年齢が高いということは、免疫力が低下しているということなのですね。では、どのようにしてNK細胞を活性化し、免疫年齢を若くすることができるのですか?
  • 照沼:まずは、生活習慣を変えていくことが基本的なこととして必要だと思います。ただ、それで十分に活性化することができなかったり、もっと予防を効果的なものにしたいという時には、先ほど言ったように、血液を一部採取し、3週間ほどかけて体の外で培養し、このNK細胞の数を数億〜数十億個まで増やして一個あたりの細胞の働きも良くしてあげて、それを20~30分かけて体内に戻してあげるのです。
  • 鳥越:そうすると、実際に体の中でNK細胞は多くなるし、働きが良くなるということですね。
  • 照沼:はい、これがまさにその例です。最初この方はNK活性値が15%だったのですが、一度の治療で1週間後には35%まで上がっています。
  • 鳥越:なるほど。免疫細胞のことで体験を話しますと、私もなかなか信じられないのですが、東洋医学の先生から「あなたの免疫力は素晴らしい」と言われていました。そのせいか、抗がん剤の副作用もなく、風邪もひかず、口内炎もヘルペスなども全くできないので、私は自分で免疫力は高いと思っています。このように、自分では不思議な体験をしているのですが、どう思われますか?
  • 照沼:まさに、食事や睡眠、精神をうまくコントロールし、ストレスをリリースするだけで、免疫力は全然違うということがきちんとデータとして出てきています。きちんとコントロールできていれば、インフルエンザや風邪にはかかりにくくなりますし、口内炎やヘルペスなどが出にくくもなります。それは、まさにリンパ球の力が強いということなのです。

《第4章》 免疫細胞治療法における成分採血

  • 鳥越:免疫細胞療法では、成分採血(アフェレーシス使用)という採血方法があるようなのですが、どういったものでしょうか?
  • 照沼:献血をしに行った時、成分献血というのがありますよね。400cc全部の血液を抜くのではなく、針を刺して機械につなげ、遠心分離で細胞の比重別に血液の一部の欲しい成分だけをとって、それ以外は体内に返しています。これを成分採血と言います。 ここでは、免疫細胞療法で使いたいリンパ球だけを集めたいわけですから、赤血球などは不要なのに、一度に50ccの血液を短期間に繰り返し抜くのでは患者さんの負担にもなります。こういう時に成分採血をすると、貧血のある人などでも負担を軽減して採血できるわけです。つまり、欲しいリンパ球だけ採取することが可能なのです。
  • 鳥越:そういうことが可能なのですね。しかし、なかなかイメージがわかないのですが、どうやるとそういうことが可能になるのですか?
  • 照沼:血中にあるリンパ球の比重、赤血球の比重、好中球という細菌と闘う細胞の比重は、全て違います。ですので、血液を遠心分離にかけると、きれいに分かれていき、必要な比重の細胞だけを採取することができる機械があるということです。
  • 鳥越:なるほど、そんなに便利なものがあるのですね。 では、がんになっていない普通の健常者が、将来のことを考えて、がんにかからないよう免疫細胞療法を受け、NK細胞などの免疫を高めるようなことができるようになってきているということですね。
  • 照沼:そうです、そういうことが可能になってきているのです。
  • 鳥越:がんになってしまった人だけではなく、家系的にがんが多いとか心配されている方が免疫細胞療法を受けるといいということですか?
  • 照沼:その通りです。リスクを減らす可能性があるということです。がんになる人が家族の中に多い、すごくストレスのかかる生活をしている、大変な仕事をしている方などは、免疫力がとても下がっています。特にNK細胞は、年齢に応じてどんどん下がっていってしまいますので、NK細胞による免疫細胞療法が効果的なのです。

《第5章》 予防医療としての免疫細胞療法

  • 鳥越:予防医療として免疫細胞療法を受ける方は、やはり年齢がいっている方であったりするわけですか?
  • 照沼:そうですね、高齢であったり、がん家系であったり、ストレスの多い生活をされている方が多いですね。また、風邪をひきやすいとか、口内炎が良くできるとか、気持ちが沈みがちであるとか、そういう方々も受けられています。
  • 鳥越:そういう方々が自覚をして、大病を患う前に、このような治療を受けようと思えるようにならないといけないですね。
  • 照沼:そうですね、まだまだそういう風にはなってきていないのが現状です。しかし、最近では、健康寿命ということも言われてきていますし、病気になる前の予防医療や、さらに一歩進めて先制医療ということも言われてきています。病気が現れてくる前に、健康な体と心を作るということに関心が高まってきています。
  • 鳥越:大前提として、日本は明治維新の時に、東洋医学から西洋医学に全面的に切り替えましたよね。 西洋医学の中では、自分が持っている免疫力という自己治癒力についての意識が薄く、手術をしたり薬を投与したりすることで病気の犯人をやっつける、ということが主流となってきていたと思うのです。どうも、自分の体を自分で治すということについての配慮があまりなかったような気がします。 日本人は免疫力について(もちろん知っている人は知っているのですが)なんとなく聞いたことはあるけども、具体的にどういう力があって、どういう効果があるというのを知らない人が多いと思いますが、いかがでしょうか?
  • 照沼:その通りです。それが最近は、色々数値化できるようになってきているので、みなさんが自分の健康ということを実感し、徐々に見直されてきていると思います。やはり西洋医学が日本に入ってきてからは、中心にあるのが病因論ですから、病気の原因は何か、つまり病原菌の特定だったりするのです。
  • 鳥越:私がよく思うのは、西洋医学は手術や薬などで犯人を逮捕する、つまりウイルスだったり細菌だったり悪さしているものを薬などで抑える、もしくは、できものができたら手術などで取り除く、ということだと思います。 しかし東洋医学では、その犯人はどうでもよく、自分の免疫力が上がって自己治癒力が高まり、最終的にはよくなっていくということではないでしょうか。ただし、東洋医学は犯人逮捕ではないので、もし強固な犯人が腫瘍や病原菌という形で体の中に残っているとなかなかそう簡単にはいかないと思います。そこで、私は両方うまく使うことが一番健康のためににいいと思っているのですが、どう思われますか?
  • 照沼:賛成です。ですから、がん患者についても、我々が治療をする時は、治すというよりいかに共存してもらうかということが大切です。少量の抗がん剤とそれを増感するためのハイパーサーミア(温熱療法)、そして自分自身の抵抗力を高める免疫細胞療法などを併用してもらい、悪い細胞には少しおとなしくしてもらいながら自分自身の抵抗力を高めてもらっています。まさに西洋医学と東洋医学の考え方を取り入れた治療を行っています。

《第6章》 免疫細胞治療・細胞培養の現状と実績について

  • 鳥越:細胞培養について、もう少し具体的にご説明頂けますか?また、どういう実績がおありなのでしょうか?
  • 照沼:2014年11月に新たに施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(いわゆる再生医療新法)で、様々な病院から依頼を受けて細胞培養を行う施設は、国の機関(PMDA)の査察を受けて国から認定を受ければ、病院外で会社として治療のための細胞培養を行ってもいいこととなりました。これは世界でも先進的な法律です。我々日本バイオセラピー研究所では、医療機関同士の医療連携のサポートという形で、すでに細胞培養を10年以上行ってきております。例えば、免疫細胞であれば、この5年間で3万件ほど培養してきました。そのうち、NK細胞は1万6千件ほど培養を行いました。実際に患者さんに使ってきましたが、副作用は3万件のうちほんの4件程度で、少しアレルギー反応が出たという程度です。 そういった意味では、きちんとした安全性は確保しながら、経験をたくさん積んできております。これは以前は医師法のもとでやることができたので、日本ではたくさん経験を積むことができたということです。
  • 鳥越:それは、世界的に見ても、かなり進んでいるということですか?
  • 照沼:その通りです。例えば、アメリカではFDAの許可を先に受けなければなりませんので、多くの研究はされていますのが、実際の医療としての経験値は少ないのです。日本は経験値が高く、安全性も精通していますし、培養技術も高い水準です。最近では、我々が開発したNK細胞を培養する培養キットが、海外から多く注文を受けています。
  • 鳥越:そうなんですね。では、日本は、免疫細胞療法の培養とその治療については先進国なのですね。
  • 照沼:そうです。実際に患者さんに投与するということでは先進国です。もちろん研究の上では、アメリカなどで先進的なものはありますが、実際の医療としての経験としては日本が進んでいます。我々のところだけでも5年間で3万件ですから、他の施設なども含めれば、経験値としては大変なものです。
  • 鳥越:ただ一番大事なのは、その結果、どういう効果があげられたのかということだと思いますが。
  • 照沼:それは、とても大事なことです。再発予防においては、きちんと論文などで発表されているもので、肝がんの手術をした後、免疫細胞療法を行うことで数年後の再発率は約半分になるという結果があります。また、肺がんでは手術をし、抗がん剤や放射線治療を行っても再発したり亡くなったりする方が多いのですが、並行して免疫細胞療法を行うことで数年後の生存率が約2倍になりました。 我々は、膵臓がんで効果検証を行いましたが、ステージ4で抗がん剤治療しか行えない患者さんの1年後の生存率は20%以下でしたが、免疫細胞療法と温熱療法を加えると、50%以上もの人が1年後も生存している結果となっています。しかも、こういった治療は外来通院ですから、本当に長い間、自宅で生活しながら病気の進行をゆっくりにして、QOLを保った治療ができることになります。つまり、いい結果はたくさん出ております。
  • 鳥越:なぜ、そこまで効果があるのに、あまり普及していないのですか?
  • 照沼:問題は、もっとお薬のようになればいいのでは?ということになりますが、一つには、臨床治験というエビデンスを出すための検討を行うのに何十億円というコストがかかります。しかし、もともと細胞を作るコストが高いので、製薬会社などは、初期コストが膨大なものに投資しにくいと思います。また、お薬のように数がそう多く出るものではありません。お一人の患者さんの血液をとってきてお一人に戻すものですと、ロットを形成しての大量生産ということになりませんので、利益率が極めて低くなります。そうすると、なかなか臨床治験という形で行うのは難しいのです。臨床治験という形でやらないとエビデンスになりませんので、ガイドラインに載るような治療法になりません。そういったことから、一昔前までは「免疫なんて効かない」という医者が腫瘍内科にもたくさんいました。
  • 鳥越:そこから、どのように流れが変わってきたのですか?
  • 照沼:免疫細胞が確かに効果的であるという臨床結果があった上に、免疫細胞の攻撃を邪魔するような働きが、がんと免疫細胞の間にあるため、せっかく攻撃ができてもがんを殺せないでいるということがわかってきたのです。 そこで、この攻撃を邪魔する信号をブロックするお薬が出ました。このお薬を使うと、悪性黒色腫など今までは治らなかった病気も、治る人が出てくるようになりました。そうしてがんを専門にしている腫瘍内科の医師たちも、免疫をきちんと働かせると本当に効く大切なものであるという見解が、まさにこの1~2年で見直されてきました。

《第7章》 N2クリニックの治療内容について

  • 鳥越:N2クリニックという名称ですが、N2はどういう意味でしょうか?
  • 井原:「Natural」と「New」の2つのNからきています。自己の免疫細胞や幹細胞を使った治療ということでNatural、そして新しい医療分野、医療サービスを提案していくことからNewであると考えております。
  • 鳥越:N2クリニックで受けられるような免疫検査は、普通の病院ではやらないと思いますが、どのようなものですか?
  • 井原:普通の病院で行う一般的な血液検査には、先ほど出ていた「白血球数」や「リンパ球数」という形だけでしか見ることはできません。リンパ球は様々な機能の細胞の集まりなのに、Tリンパ球、制御性Tリンパ球、NK細胞などの免疫を担当する細胞の詳しい項目に関しては測定されていません。 しかし、照沼先生の施設では、これら免疫を担当する項目を詳細にわたり測定する技術をお持ちですので、当クリニックにて患者さんにご提供しております。
  • 鳥越:それは、どうして一般の病院ではできないのでしょうか?
  • 井原:免疫検査や免疫細胞療法は最新医療であり、保険適応にはなっていないことが一番の理由だと思います。 また、これまではリンパ球の様々な機能の細胞の集まりであるという認識も測定法も不十分で、さらに、異常値であってもそれを改善する治療法を持っていなかったということも理由だと思います。
  • 鳥越:では、そういう免疫細胞の数値を知りたい場合はどうしたらいいのでしょうか?
  • 井原:N2クリニックで免疫検査を受けていただければ、免疫に関わる詳細項目の検査が可能です。 こちらの表のように、どの細胞がどの程度体内にいるという報告結果をお見せできます。さらに免疫年齢まで表示されます。(免疫検査報告書を見ながら) 検査方法は、通常の血液検査のように10ccの血液を採取するだけの簡単なものです。
  • 鳥越:遠方からも免疫細胞療法を受けにいらっしゃる患者さんはいますか?
  • 井原:はい、大阪や京都、名古屋、九州など全国各地からいらっしゃっています。さらには海外からも、例えば香港やシンガポールからもいらしています。
  • 鳥越:ということは、こういう治療をうけられる病院は、地方にはあまりないのでしょうか?
  • 井原:そもそも、免疫細胞療法を受けられる施設の数は限られており、東京に集中しがちです。N2クリニックのお話を聞いて、がん患者の方やストレスが多く疲れていらっしゃる方が、わざわざこちらまでいらしてくださいます。
  • 鳥越:これからは、全国展開もされるとのでしょうか?
  • 井原:そうですね。地方からN2クリニックのある東京へいらっしゃるということだけで、負担およびストレスがかかりますので、地方に同様の免疫細胞療法が受けられる施設があれば、患者さんのために最良であると考えております。
  • 鳥越:他にも幹細胞を培養して体内に戻すという治療も行われるそうですが、それはどんな治療でしょうか?
  • 井原:幹細胞療法は、先のどのリンパ球を採取するものとは別で、自己の細胞をおへその付近の脂肪から幹細胞を取り出して数千万個から一億個相当までに培養します。幹細胞というものは多機能分化、つまりいろんな細胞に分化する機能があり、骨、神経、軟骨、筋肉、心筋、血管などにも分化します。例えば、数千万個から一億個に培養した自身の幹細胞を体の中に戻してあげると、血液を介して体の中の傷ついた細胞を自分で探し当て、その細胞を修復したり分化して補ってあげることができる機能があります。今現在は発症していなくても、今後病気になる可能性がある部分を、数が増えて強くなった自分の細胞で修復する、という未病対策、健康増進、究極のアンチエイジングの治療になります。
  • 鳥越:それでは患者側としては、どういう状態の時にこの治療を受けたらよいのでしょうか? 未病ということは、まだ病気になってないので、健康な時は何となくやり過しがちです。普通の人は、そんなに神経質に考えていないので、きっかけがつかみにくいと思うのですが、こういう時に来た方がいいというのはありますか?
  • 井原:実は現時点では、培養細胞を使った治療ということで、病気として診断された方が治療を受けられます。しかし、自分は病気だと思っていなくても、数年前に比べて年をとったなぁと感じる方、昔ならば海外出張などアグレッシブに飛び回っていたが最近なんとなく渡航の意欲が起きない方など、実は知らないうちに男性更年期障害に陥っている男性が大勢います。また高血圧ぎみの方や飲酒により肝機能が少し悪い方、血糖が少し高い方など、健康診断で何らかの異常を指摘されている方はたくさんいると思います。また女性では、30歳前後でもストレスやダイエットなどで自律神経が乱れて若年性更年期障害という更年期障害と同じような症状が現れて、放っておくと卵巣機能が低下する女性などもいるのです。このような方には自分では病気とは気づいていないので、ちょっと以前とは違うなという時に、クリニックに気軽に相談に来ていただけるとよいですね。知らぬうちに病気の入り口に立っている時に幹細胞療法を受けていただくといいと思います。 また幹細胞療法は、喘息やアトピー、脳梗塞、糖尿病、肌年齢改善・育毛などに関する効果も期待されていますので、気になることが一つでもある方は、ご相談に来ていただければと思います。

《第8章》 N2クリニックの雰囲気について

  • 鳥越:ここはクリニックと言っても、そのような感じがあまりしない空間ですね。どこかのサロンかラウンジのような感じですね。
  • 井原:そうですね、やはり病院に行くというだけでストレスを感じられる患者さんは多いと思います。通常は、待合所で長い時間待っても診療はすぐ終わり、次は採血室へなど、それだけで疲れやストレスを感じてしまうと思います。そういったストレスができるだけない状況を作りたいと思っています。せっかく免疫を上げる治療を提供するのですから、普通の病院とは違う空間を作っていきたいですね。
  • 鳥越:あちらが治療室ですか?治療室というよりオフィスの一角のようですが。
  • 井原:はい、なるべく2つの治療室の雰囲気は明るく清潔感を保つようにしています。 診療ベットにつきましてもお好みの角度で施術を行うことが出来ますので、よりリラックスした気分になっていただけると思います。
  • 鳥越:またテラスも開放的で広いスペースですね。
  • 井原:はい。今日のように暖かくて天気のいい日は、テラスのソファでリラックスしながらご自身や大切な家族、ご友人の健康ライフのお話を私とゆっくりお話をできれればと切に思います。病院というより別荘やリゾートのような雰囲気を感じていただきながら、患者さんがリラックスしていただくことでストレスの軽減、自己の免疫力のアップにつながればと思っています。

《最後に》

  • 鳥越:私は、先日76歳になったばかりですが、76歳といったら免疫力は相当落ちているのではないかと思います。一般的にも、高齢者の免疫力は下がっていると思いますが、高齢者はこれからこうしたほうがいいという提案はありますか?
  • 照沼:先ほどもありましたが、体を温めるような栄養バランスのとれた食事をとりながら、睡眠をきちんととり、適度な運動で適度な筋肉を保つことが大切です。そして、毎日笑いながら生活するだけでNK細胞の活性が上がるという論文があります。
  • 鳥越:私も講演でよく言っています。でも、おかしくもないのに笑えないでしょ?と言われますが、おかしくなくても笑っているとそのうちおかしくなってきますから、と言っています。 私は常にポジティブに考えているので、がんになって落ち込んだことはありません。むしろ、がんになって「しめた!これでがんの本が書ける!」くらいに思っていました。
  • 照沼:そういうポジティブな考え方ががんをやっつけるのです。
  • 鳥越:できるだけ前向きに目標を持って生きていくと、がんとの闘いにおいては有利になると思います。
  • 照沼:そういったことはご自身の体験を踏まえて、経験に基づいてお話しされているかと思いますが、まさにそういったことが数値化されて証明されてきています。例えば、NK細胞の活性値などがそうです。まさに、ご自身の体験ということが科学的にも裏付けられたものなのです。
  • 鳥越:私も免疫検査を受けてみたいです。でも免疫年齢が80歳と出たらショックだなぁ。
  • 照沼:是非、一度、免疫検査を受けてみてください。